2009年11月17日火曜日

専門家と門外漢

 専門家は、自分のしている事が他のどの分野よりも重要で、もっと資金を使い、人手を増やすべきだと思っている人が多い。

 役所にしてもそうだ。自分の所の分野は他よりも予算や人手を増やして欲しいと思っている。
 だからどこの課も前年よりも大きな予算要求をする。この事はいちおう理屈が分かる。
 しかし予算を割り振る側は要求通りに受け入れる訳にはいかない。予算を大幅に上回ってしまうからだ。
 
 そのために予算を振り分ける側は十分に査定して、振り当て額を決めなければならない。
 ところがその振り分け側が役人の財務省(旧大蔵省)であれば、身内の予算要求であるから甘い査定になってしまい、十分に削れずにオーバーする形で上げて、それを政治家がチェックしなければ、予算規模と借金はどんどん増えて行く事になる。

 専門家はよく、「素人に何が分かるか、口出ししないで自分達に任せておけば良いんだ」みたいな事を言う。しかし任せて置けばそれを良い事に、「人類にとって、こんな重要な研究は他にはないから、これだけ予算をよこせ、これだけ人を増やして欲しい」と言って実行に移すに決まっている。

 更には成果が挙がらないにも拘わらず、「大発見だ、これまでに無い大変な発見だ」と自分達で宣伝し、素人が分からないのを良い事にでっち上げる事もないとは言い切れない。

 現に「4~5年先に実用化の予定」とか良く新聞などで目にするが、実用化されたという記事を見た試しがないのは自分だけなのだろうか。

 そう言う私も専門分野の研究者の一人と勝手に思い込んでいるが、専門外の人達は誰も認めてくれない。よってどこからの援助金もない。
 といって、回りがバカだと言っても始まらない。
 どう足掻こうが、結局の所専門外の人達に認められて、評価を受けなければ自己満足の研究と言わざるを得ないのである。

 同じように国の予算の査定でも、結局は専門外の人が決めざるを得なくなる訳で、専門の人はいかに素人に説得出来るかしか方法は無いのである。