2014年1月10日金曜日

豊洲新市場工事費が6割アップであらゆる工事が大変な事態に



 
 
 ① 東日本大震災の復興工事、② マンションの建設ラッシュ、③ 公共施設の一斉老朽化、④ 整備新幹線の延長工事、⑤ 全国各地での安倍首相肝いりの国土強靭化計画、⑥ 円安によるエネルギーや輸入原材料の値上がり、⑦ それに加わったのが東京オリンピックの関連工事だ。これらが余りにも一度来重なってしまい、建設工事費がとんでもなく釣り上がろうとしている。

 東京都江東区豊洲の新市場の入札は、ゼネコンとの工事価格が折り合わなくて不調になったが、2月に再入札が行われるその予定価格が、何と6割もアップになっている。

 前回11月の入札の時には主要3施設で628億円だった予定価格が、今回は1035億円になっている。約6割も引き上げられてた。
 一般市民の感覚でいうと、4,000万円のマンションがいきなり6,400万円になってしまったようなものだ。



 詳細は次のようになっている。

■ 豊洲新市場(仮称)青果棟ほか建設工事(その2 )(江東区豊洲3-6)・・・規模は青果棟が鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造及び鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積は約82,035㎡。
買参組合事務所棟・・・鉄骨造一部鉄筋コンクリート造2階建て、延べ床面積は約2,544㎡。工期は契約確定日から2016年3月30日まで。
 
予定価格は259億4,592万円(消費税及び地方消費税の額を含む)。

■ 同水産仲卸売場棟ほか建設工事(その2)(江東区豊洲3-6)・・・規模は鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造5階建て、延べ床面積は約159,833㎡。その他工事一式。
工期は契約日から2016年3月30日まで。
予定価格は436億765万5,000円(消費税及び地方消費税の額を含む)。

■ 同水産卸売場棟ほか建設工事(その2)(江東区豊洲6-6)・・・規模は鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造及び鉄筋コンクリート造5階建て、延べ床面積は約119,618㎡。その他工事一式。工期は契約日から2016年3月30日まで。
予定価格は339億9,853万5,000円(消費税及び地方消費税を含む)。



 前回、入札が不調になった時の予定価格と今回のとを比較してみると、

    青果棟が       159億円→259億円

    水産仲卸売場棟が 260億円→437億円

    水産卸売棟が    208億円→340億円



 これを新国立競技場に当て嵌めてみよう。

 新国立競技場は当初の1,300億円の予算だったものが、実は3,000億円の建設費が掛かるという事で批判の対象になり、1,852億円に圧縮された。これさえも当初よりは高いと批判されている。
 しかし予算の見直しは不可避で、仮に豊洲新市場のように6割増しになったら、1,850億円がプラス1,110億円となり、2,960億円になってしまう。これは膨れ上がった時の予算の3,000億円にほぼ並ぶ金額だ。

 何も新国立競技場ばかりではない。オリンピック関連施設のあらゆる予定価格に影響して来るし、震災復興やその他の公共事業や民間のマンション建設にまで、あらゆる所にもである。




 新国立競技場は現在、フレームワーク設計の中で、規模、コスト等を含め基本設計に向けた条件整理を行っている。
 今後のスケジュールは、2014年3月までに基本設計を終わらせ、4月から実施設計を始め、2015年10月から建設工事に取り掛かり、2019年3月に完成する予定だ。解体工事は2014年7月から2015年10月の間に行う。

 事業費は国費・スポーツ振興くじtotoの売り上げの一部を充てる。



 整備新幹線

国土強靭化計画

首都圏マンション市場予測

(株)不動産経済研究所


2014年1月5日日曜日

病院の建設ラッシュが止まらない



 各地で老朽化した病院の建物が、一斉に建て替えられているかのような建設ラッシュが起きている。首都圏を中心にできる限り調べてみた。


【埼玉県】
■ さいたま赤十字病院(さいたま市中央区)移転新築工事・・・施設の老朽化と狭隘のため、JRさいたま新都心駅近くへ新築移転される。
新病院の規模は一部鉄筋コンクリートの鉄骨造14階建て(地下2階、塔屋3階)、延べ面積は約61,425㎡の免震構造。デッキ下立体駐車場は鉄筋コンクリート造3階建て地下1階、延べ面積は8,518㎡の耐震構造。外構工事は施工面積約5,345㎡。工期は2014年2月~2016年3月31日までの予定。
入札の結果、大成・田中JVが206億9,000万円で落札した。病床数は632床か。


■ 埼玉県立小児医療センター(さいたま市岩槻区馬込)移転新築工事・・・さいたま新都心駅近くに日赤病院と隣接して建設される。9月に入札が不調になった「埼玉県立小児医療センター新病院建設工事」の落札業者は、清水建設株式会社関東支店に決定した(2013.12.27)。
規模は鉄骨造一部鉄筋コンクリート造13階建てで地下は2階、延べ面積は約68,100㎡。病床数は316床で、駐車場は335台。


■ 社会保険大宮総合病院(さいたま市北区盆栽町)新築移転工事・・・老朽化が著しく耐震改修が求められていて、その存続が不安視されていたが、約800m離れた北区役所に隣接した市有地(宮原町)に移転建て替えされる事になった。
建設用地は市有地(約14,000㎡)と病院敷地(約10,000㎡)を交換した。


 埼玉社会保険病院改築工事(さいたま市浦和区北浦和4‐9‐3)・・・JR北浦和駅西口の国道17号沿いにある埼玉社会保険病院は老朽化した病棟(築40年以上)の改築工事を進めている。
既存の南館は耐震化改築工事が終わっているため、北側を中心に残った建物の工事が行われている。
南館は延べ面積が9,680㎡あり、それと合わせて総ての建物が改築されると全体が31,588㎡になる。全体の延べ面積は以前とほぼ同じだが、病床数が439床から395床へと約10%縮小される。
建物の高さは6階建てが8階建てになったりするので、その分駐車場が増える。
工期は2015年2月までの予定。
建て替え工事の計画は大分以前からあったと言うが、東日本大震災後に新しい国の耐震化基準ができ、補助金も出る事になったので、その分10%の病床数がカットされる事になったが、建て替え時期が早まったという。


■ 上尾中央総合病院B棟新築工事(埼玉県上尾市柏座1‐667‐2他)・・・規模は13階建て、延べ床面積は28,800㎡。工期は2012年2月から2016年4月まで。施工は大成建設(株)。


■ 東大宮総合病院(仮称)新築移転・・・大成建設の設計・施工で2015年の春をメドにJR宇都宮線土呂駅から徒歩10分の場所に新築移転する予定。規模は鉄筋コンクリート6階建て、延べ面積23,218㎡。


■ 吉川中央総合病院B棟改築工事・・・2014年秋に改築棟(B棟)が完成予定。規模は延べ面積が2,094㎡。


 八潮中央総合病院(八潮市緑長1‐41‐3)新築移転・・・移転先は八潮南部東土地区画整理地内。設計・施工は清水建設。2013年に着工し、2015年度の完成予定。工期は20ヶ月。


■ 羽生総合病院新築移転計画(羽生市)・・・建物や設備の老朽化が著しいために、長年に渡り移転する土地を探していた。現在の土地は羽生市より無償提供されている。市は移転候補地を示したが、病院側はイオンモール西側の駐車場の場所が最適と判断し、交渉を続けているが、土地の所有者の県企業局と借地人であるイオンの了承が取れていない。
病院としては、土地取得に数年、用途転用と整地に2年、病院建設に2年で合計8~10年かかるが、イオン西側の駐車場であれば3年以内に病院が建設できるという。


■ 戸田中央総合病院の新棟増築工事・・・2013年にオープン予定。規模は4階建て地下1階、延べ面積は約4,300㎡。病棟機能や「栄養科・厨房」、「薬剤科」が移設される。特別養護老人ホーム「とだ優和の杜」は2014年3月にオープン予定。「特養」が130床、ショートステイが20床。


■ TMG宗岡中央病院(もと志木市立市民病院)・・・2015年7月に新病院完成予定。