2010年5月31日月曜日

テレビで放送していたハーバード大の授業と今どきの東大生を取材した番組を見て

 テレビでハーバード大学の授業風景を流していた。教授が教室の壁側にいて、それを回りの生徒が半円形に取り囲む様な形で、席は後ろの方へ行くほどに高くなって行く造りの部屋だった。
 授業は、多種の人種が集まるアメリカ特有の問題を取り上げていたが、教授がテーマを投げかける形で、生徒はそれに答える様に自分の意見を述べ、その事について、教授は「彼はこう言ったが、その点は他に意見のある人はいないか」と生徒に問い掛けて行くパターンだった。皆、それぞれちゃんとした意見を述べていた。

 その後、他のチャンネルで、東大生の日常を取材していた番組を見た。そしたら以前から多少は思っていたが、今更のようにその考え方には驚く点があった。

 彼らはほとんど就職した場合の収入のことしか話さなかったし、それしか関心がない様に見えたのだ。
 これからの官僚は天下りが出来なくなるから、民間企業に行くしかないとか、大企業、弁護士、医者、外資系などと給料の高い所ばかりに関心を示している。
 その上、東大生はチヤホヤされるのが好きだから、事業仕分けみたいに追求されると辛いみたいな事を言う。

 カネのためではなく、世の中の役に立つ仕事をしたいと思うようなのは、もう古いのか。彼らは高収入な、その親の意向を受けて、授業料の高い塾や予備校に通い、幼いころから試験勉強ばかりさせられて来たいわゆる受験エリートである。

 受験のための人間作りである。つまりは受験のスペシャリストという事だ。野球エリートやゴルフエリートと同様にそのほとんどが英才教育を受けて来た。
 それは取りも直さず、高額の教育投資をして、将来のリターンを目論む以外の何者でもない。ブログで女子プロゴルファーが言ったそのものだ。
 だから投資した資金の何倍を取り戻して獲得出来るかに最も関心があるというのが納得できる。

 じゃあそういう人達が、いわゆるカネ儲けのために仕事に就いた人が、カネ儲け第一優先に仕事をした時、世の中はそして人々は、国家全体は、より良くなって行くのだろうか。

 カネ儲け第一主義の医者、弁護士、官僚、研究者、政治家などで構成された国家だ。

 また一流の野球選手が、「我々は野球の事しか知りませんから」と自ら野球バカ的な発言をしたりする。小さい頃から野球づけの毎日を送って来た訳だから、もっともな事である。
 では東大生が、「自分達は小さい頃から試験勉強しかしてこなかったので、試験バカですからそれ以外の事はほとんど分かりません」と言うだろうか。
 まだ聞いた事はないが、そういう事も十分に考えられるのではないだろうか。

 野球やゴルフだったら、それがすぐに仕事に直結する。所が試験勉強、そして受験エリートの場合は即、医者や民間の企業人や政治家や研究者などになって、それが直結するかというと、そうならない場合が多いように思う。
 敢えて言うと、直結し易いと思われるのが、塾や予備校の教師だ、教わる側と教える側の違いはあるが。

 そして果たして、カネ儲けのために研究者になって、良い研究成果があげられるのだろうか。立派な医師になれるのだろうか。技術立国を作り上げる基礎を築いたかつての創業者の様になれるのだろうか。
 「どこか違う」って気がするのだが。

 こんな事を言うオレが現実的じゃないってことなのか。 
 
 しかし研究者でも、医者でも、弁護士や裁判官でも、企業家でも、教師でも、他の職業でも、いまの試験勉強以外にもっと大事な学ぶべきものがある様な気がしてならない。