2010年5月5日水曜日

花の命は短くて


八重山吹


「七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだに無きぞ悲しき」

 この歌は、武将の太田道灌に、貸す蓑がなくて、その代わりに山吹の花を渡した娘が詠んだもので、時代は室町時代になるから、江戸時代から広まったソメイヨシノよりも、もっと古くから一般的にあった花である。



 「汽車が山道を行く時、薄紫色をした名も知らぬ花の群生が、線路の傍に咲き乱れていた。初夏の新緑が、まぶしい陽の光を浴びて輝いて見えた。向かいの席には外国人の旅行客と思われる青年がいて、窓を上げて季節の風を気持ち良さげに受けていた。
 その青年の肩の辺りまである金色のしなやかな髪が、時おり光り輝きながら、風を受けてそよぐ様は、映画のカットを見ている様に美しく、恰も風にそよがせるためにある髪の様でもあった。」

 こんな文章の小説でも書いてみたくなる季節ですね。





 僕は、真っ赤な色でいかにも「咲いているぞ!」というツツジの様な花も鮮やかで好きなのですが、何気なく咲いていて、それでいて存在感がある花に惹かれるものがあります。