2010年1月13日水曜日

橋づくし(作:三島由紀夫)に見る都会の風景描写その二

 川は入船橋の辺りまでは、ほぼ東へと流れていたものが、そこから大きく南方へと流れを変える。小説では次のように書かれている。

 「川は入船橋の先でほとんど直角に右折している。第五の橋までは大分道のりがある。広いがらんとした川沿いの道を、暁橋まで歩かなければならない。
 右側は多く料亭である。左側は川側に、何か工事用の石だの、砂利だの、砂だのが、そこかしこに積んであって、その暗い堆積が、ところによっては道の半ばまでも侵している。やがて左方に、川むこうの聖路加病院の壮大な建築が見えてくる。」

聖路加看護大学とミス椿

 第五番目の橋の暁橋、第六の堺橋、そして最後の第七の備前橋とかつての川の跡は公園になっている所が多く、上の写真のように撮影が行われていたり、市民の憩いの場所になっている。

 小説の舞台は、備前橋、築地本願寺といったところで終るので、帰り道には築地市場を通って、JR新橋駅へと向かうルートをとった。




 上の写真は築地本願寺で、その発祥は1617年に京都の西本願寺の別院として浅草に建てられた。その後、1657年の明暦の大火で焼失し、八丁堀の海上に埋め立てて再建した。
 
 その後も度重なる類焼や台風などによる被害にあって、再建を繰り返して来たが、関東大震災で本堂が焼失したため、現在の古代インド仏教様式の建物になった。 


 築地場外市場