2009年9月25日金曜日

利根川水系の八ツ場ダムが話題なので、荒川の治水も知りたくて荒川知水館へ(東京都赤羽)















 
 
 民主党が政権を取った事で、世間は八ツ場ダム建設中止の賛否に揺れている。このダムの建設が、将来来るかも知れない大型台風の大雨によって利根川の堤防が決壊するのを防ぐのに役立つという。 
 荒川はどうなんだろうか。という訳で、JR赤羽駅からテクテクぶらぶらと埼玉と東京の境を流れる荒川沿いの「荒川知水資料館」まで行った。
 汗ばむほどの日差しが降り注ぐ午後、それでも空気はカラッとしていた。 北側の商店街をぶらっと歩いて、アーケードのある大きな商店街の通りに入ると、人だかりがしていて、CDショップの前で男性演歌歌手が歌っていた。 
 そこを抜け、暫く東方向に行って、車の多い広い通りを越して少しするとコンクリートの塀のような堤防が見えた。隅田川の堤防で、そこまで行くと資料館が目に入った。 ここは隅田川(旧荒川)と現荒川の荒川放水路とが並行して流れていて、両河に挟まれて位置する資料館の中には、放水路の建設の歴史が分かるようにパネル展示されている。 
 
 旧荒川(隅田川)は明治時代に大きな台風によって広範囲に氾濫し、甚大な被害を及ぼしたのを切っ掛けに、それまで曲がりくねっていた川の隣に真っ直ぐな川を造って川の氾濫を防ごうと、赤羽の岩淵にある岩淵水門から東京湾の河口まで全長22km、幅500mの荒川放水路の工事に着手し、ようやく完成したのは、20年後の大正13年になってからだった。
 その後、堤防の決壊による洪水はなかったが、昭和22年(1947)のカスリーン台風で利根川だけでなく、荒川の上流部でも2か所が切れ、被害があった。
 それから今日まで60年以上も決壊は起きてない。その間、上流に二瀬ダムを造ったり、河川改修や堤防工事を進め、最近10年位の間に、秩父の方で浦山ダム、合角ダム、滝沢ダムの3つのダムが出来、さらに大規模な荒川第一貯水池は完成したばかりで、その他スーパー堤防の建設も進行中である。
 これだけやれば、もう災害対策は十二分過ぎるのではないかと尋ねてみた所、下流部の下町のスーパー堤防造りは、幅の広い堤防造りをするので、それに掛かる住居は一端立ち退いてもらってから、再び戻るという面倒な手続きを取らねばならず、進捗状況は必ずしも良くないという。
 こういう防災工事はいくらやっても完全100%という事はなく、切りがないといった感じはある。
 後はどの位費用を掛けられるかだろう。
 人が外出すれば、交通事故に遭うかも知れないし、風で看板が落ちて来るかも知れない。通り魔に出くわす危険も無くはない。それらから100%身を守ろうとしても出来る訳がないのである。