埼京線の駅から近い広い道の歩道を歩いていると、前方に数人の集団がゆっくりと歩いていて、一番後ろの女性同士で腕を組んでいた片方の人が近づいた時に後ろを振り向いた。年輩の女性だったので、おばさんの集団かなと思って、追い越そうとその中ほどまで来た時、突然に後ろからその中の一人が喋り出した。
「ねえ、お父さん。もし三人の娘の中で男が良かったとしたら何番目だった?一番上?それとも二番目?三番目?」
少し酔ったような声だったので、日頃思ってはいたが口に出せなかった事を、酒の力を借りて言ったという風だった。もしかすると長女でもあったのだろうか。
先頭を歩いていた人が、その言葉に振り返ると、お父さんだった。
「四番目が良かったかな?お母さんがな…」と最後尾のお母さんに話題を振ったが、お母さんはそれには答えなかった。
一見幸せそうに見えはしても、将来の事になると大なり小なりの不安はあるものだと思った。