この辺りは江戸市中の外にあるのだが、街道沿いにはかなりの数の商店が軒を並べていた事が分かる。
どんな店があったかというと、「かさや」「質や」「湯や」「まき炭や」「たばこや」「わたや」「油や」「下駄や」「水菓子や」「米や」「とうふや」「アラ物や」「さかなや」「そばや」「カンブツや」「紙や」「居酒や」「箒や」などだ。
「六義園」を目印に地図にあった所へ行ってみた。この辺りなんだがなぁ、と回りをきょろきょろしていると、通りすがりの爺さんが歩道のベンチに腰を下ろして、何かを聞いてくれと言わんばかりの顔でこっちを見ていた。
「この辺に、以前床屋さんがあったって聞いたんですけど」と尋ねてみると、待ってましたとばかりに「海老床、海老床。そこ、そこの信号の所」と指をさしながら、威勢の良い元気な声で教えてくれた。
「江戸っ子だってねぇ」「神田の生まれよ」ってな感じだった。
通り沿いはマンションが建ち並んでいて、その谷間の様になった空き地が、「海老床」のあった所だった。
この通りの少し裏に入った所に「富士社」の広い境内や木々が描かれていて、脇道に入るとすぐに分かった。社殿は古墳の様な富士塚なのだろうか、その上にあった。
社殿に向かう急な階段を上って行くと、上の方から「にゃおー」と鳴き声がして、階段を上り切る前に上の地面にいた猫とご対面と相成った。
猫は非常に礼儀正しく脚をそろえて座って迎えてくれた。ちょっとビックリして、「昔この辺にいた人の化身か?」とチラッと頭を横切ったりしながら、カメラを向けてパチリ。