【県大宮合同庁舎と大宮区役所別館の土地交換が県議会で承認】
さいたま市の大宮区役所移転建て替え計画で、県大宮合同庁舎の土地と大宮区役所別館との土地を交換する議案が、県の6月定例議会で可決された。賛成するための交換条件を出していた県議会の多数派だったが、条件は具体的な所までは踏み出さなかった。
ここでこれまでの経緯を示すとこうなる。
2012年12月に県と市で土地交換を締結し、2014年5月に確認書を交わしている。それによると、合同庁舎の自動車税事務所は大宮区役所別館に2015年秋頃に移転し、それまでに別館の改修は市が行う。
また総合技術センターは2015年3月に浦和合同庁舎に移転する。移転費用と別館の改修費の約8億円は市が負担し、合同庁舎の解体費の7億円は市が負担する。
交換する土地は、市側が大宮区下町3-8-3の4,295.3㎡で16億3,650万9,300万円になり、県側は大宮区吉敷町1-124-1の7,728.61㎡で約29億8,324万円となる。この差額の約13億4,673万円は市が県に支払う。
【しかし大学病院誘致や鉄道の延伸協力が条件】
賛成に転じた県議会多数派の条件は付帯決議として表明され、「大学病院の誘致や埼玉高速鉄道の延伸など交通インフラの強化を県と市が連携して取り組むようにする」となっている。
【その大半が市や県で費用負担】
大学病院とは順天堂大学医学部付属病院のことであり、さいたま市緑区の埼玉高速鉄道浦和美園駅のそばに位置する浦和東部第二特定土地区画整理事業地内に誘致する計画で、土地取得費や建設費の大半を市や県で負担するというもの。
また、巨額の税金が投入されて建設された埼玉高速鉄道の延伸は、今でさえ大きな赤字を抱えている上にさらなる赤字を抱え込むことになり、市民や県民の負担が一層大きくなる可能性が極めて高い。
【さいたま市の財政が悪化へ】
さいたま市は、旧の大宮市と与野市と浦和市と岩槻市の4市が合併してできた政令市である。商業都市として栄え、税収が豊かであった旧大宮市は以前は国からの交付税はなかったが、周辺の他の市と合併することによって、国からの援助がなければやっていけない市になってしまった。
また公共施設の老朽化対策や広くなった市内に同じような条件の公共施設を設けようとすることから、公共事業への支出は一段と増えることになる。
そうすると市の公共料金や税収は上げざるを得なくなり、最悪の場合は財政が行き詰ることにもなる。
【下水道料金の値上げ】
現にこの7月から下水道料金が大幅に上げられることになった。市は耐震化を進めたり、老朽化した管の交換が必要になっていると言うが、東京や横浜と違って100年も前から下水道があった訳ではない。整備が進んだのは30年とか40年くらい前からだろうか。
また合併で周辺の田園地帯の下水道整備も早まって、予算が大幅に増えることも予想される。
しかしながら田園地帯の遠くの各一軒家から延々と下水道管を引いてくれば、大きな予算が掛かるし、枝線の管が増えれば増える程に大きな本管の容量も不足して来るから、それも新たに口径の大きな管にしなければならなくなって来るかもしれない。これにもまた莫大な費用が掛かるだろう。
費用の増加を食い止めるためには、簡易下水道の活用や小規模下水道の工夫が必要と思われる。