2014年10月5日日曜日

国立競技場の解体工事は入札をやり直しに



 
 国立競技場の解体工事は8月に落札業者が決まったが、入札過程で不透明な点があったと苦情があり、やり直すことになった。

 これで工事開始の時期は12月中旬にずれ込む見通しという。

 最初の入札のときにはゼネコン同士だったが、金額が予定価格より高かったので不調に終わった。

 その後、日本スポーツ振興センター(JSC)は解体業者単独まで入札参加業者を広げた結果、今度は予定価格より低過ぎてしまい、調整の後ようやく8月に業者が決まった。

 そして9月から工事着工となるところだったが、入札過程で不手際があったとされ、再入札する事になってしまった。

 この工事で発注者が工事業者を決める場合、請負金額だけで決めるという訳ではないようだ。対象が大きな競技場の解体なので、作業員の確保や運搬業者を集めたり、廃材を振り分けたりする場所も事前に決めておかねばならない。
 それらの準備に問題ないと判断されて、初めて工事の請負が成立する。
 
 今回の国立競技場の解体工事の入札は、その意味で通常とは異なる点があったと思われる。
 作業員などの人手不足や建設費の高騰もあり、例えば人手の確保や相当数のダンプカーの手配や廃材の処理の方法など、本当に責任を持って最後まで作業を手ぬかりなく完遂できるのかどうか十分なチェックが必要となり、単に金額だけでは決定できない要素を含んでいる。
 それらを見極めて落札業者を決めなければならず、入札前に金額がある程度事前に漏れる可能性はあった。

 解体工事の積算をする時に、JSCの中には詳しい人がいるとは思えず、幾つかの専門業者に相談する必要に迫られた。そういう段階である程度の落札金額が分かってしまう場合があるので、難しいと言えば難しい。

 不服を申し立てた業者は予定価格より低い金額だったが、解体の専門業者のため、積算には自信があったのだろう。また様々な工事上の対策や準備にも自信があったに違いない。また注目される工事なので宣伝効果も大きいと考えられ、赤字でもやる価値があったという考えも出来よう。

 ところが発注者側からは、この点が発注者側との考えの相違があったとかの明確な回答がなかったので、事前の段階で落札業者との間に特別な関係が出来上がってしまったのではないかと不審に思ったのかもしれない。
  
 解体工事が遅れる一方で、新国立競技場の設計業者や建設業者の募集手続きも同時進行で行なわれているようだ。

 こうしたことから解体工事が進められている中で、新国立競技場の着工が行われるといった綱渡り的な手法も取らざるを得ないと予想される。