【ややこしくなって来た大宮区役所建て替え計画】
さいたま市は老朽化して耐震診断で危険と判定された大宮区役所の建て替え工事を計画しているが、移転先になる県合同庁舎の用地交換などがまだ進まず、計画は不透明なままだ。
市と県の職員レベルでは基本協定書が出来ていたようだが、県議会の同意が得られていないという。
議会は、埼玉高速鉄道の浦和美園駅近くに誘致を進めている順天堂大学付属病院や、赤字の鉄道をもう一駅延伸することへの協力を条件にしているとか。
病院が誘致される予定地は、都市再生機構と民間で所有している浦和東部特定第二土地区画整理事業地内になる。この事業の保留地として生み出された約3ヘクタールを、市が買い取って病院に無償提供したり、建設費の一部を負担する条件のようだ。
保留地は、土地区画整理事業を進める中で、それぞれの土地所有者から少しづつ土地を削ったものを一ケ所にまとめ、その土地を売って事業資金をねん出する目的で設けられている。
この保留地の用地費がいくらになるのか、また病院の建設にいくら出すのかもハッキリしていない。
例として挙げれば、病院建設には200億円くらいかかると見られ、県が100億円、市が50億円、病院が50億円の負担割合が一般的らしい。
一方で、ここから4~5キロメートル西に「さいたま市民病院」があり、そこでも病院を建て替える計画が進められている。概算事業費は213億円。
大宮区役所の建て替え計画では、老朽化したさいたま市民会館おおみやも、大門町2丁目中地区市街地再開発事業で建てられる複合ビルの中に移転する予定になっている。その移転の負担額など公共施設への整備費が増えて行く中で、余分な事業への予算化は市の財政をさらに圧迫することは間違いない。
もし大宮区役所の県所有地への移転がムリな場合は、他を探す必要が出て来る。候補地としては旧中山道に接する大門町の再開発事業の複合ビルの中もその一つかもしれない。
ここにはNHKさいたま放送局(さいたま市浦和区)が移転して来る予定になっていたが、会長が替わり、渋谷の放送センター建て替え工事に3,000億円の巨額の資金が必要になるので、移転中止になる話も出ている。
そして現時点では、2名の地権者の同意がまだ得られていないという。
また考え方としては、旧大宮市役所の議会棟だった建物や駐車場スペーもかなりあるので、現大宮区役所の建て替えだけを考えるのであったら、敷地内での建て替えは十分に可能だと思われる。
【まとめ】
話がかなり入り組んでいるので、分かりやすくまとめてみるとこうだ。
一、県合同庁舎と市民会館の跡地一体を区役所や図書館の入った複合施設として整備し、合同庁舎の一部は区役所別館跡地に移転する。
一、市民会館は中央デパート跡地の再開発ビルの中に移る。
一、大宮区役所跡地は再開発事業の種地として活用する。
一、市が負担する費用は、
■ 大宮区役所の複合施設の建設費。
■ 県との用地交換の差額分として、約13億4,670万円を県に支払う。
■ 県の施設の移転費用と区役所別館の改修費。
■ 再開発ビルに入る市民会館部分の費用などがある。
一、それに浦和美園地区の負担が加わると、
■ 誘致される病院の用地費用。
■ 病院建設費の一部。
■ 埼玉高速鉄道の延伸分の費用。
■ また、4~5キロメートル離れた市民病院の全面改築が決まっている。
この総ての額を市が負担するとなると、財政は恐らくパンクの危険性が高まると思う。その付けは市民の税金に跳ね返り、議員の報酬も年間約1,300万円から月に十数万円にならないとも限らない。