JR浦和駅の高架化が完成したと新聞で見た。記事を読んだら、気になった事があった。総事業費は453億円で、内訳がさいたま市で257億円、県は24億円、JR東日本の12億円とあった。
どうやら大半をさいたま市が支出している。鉄道事業なのに、何でさいたま市がこれ程負担しなければならないのか疑問に思ったので、調べてみた。
■ この浦和駅の高架化に係わる事業は3つあり、次の通り。
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①JR浦和駅を含めた約1kmの区間を高架にする
②これまで通過していた湘南新宿ラインを、浦和駅に停車させるための新しいホームを造る
③新設道路の田島大牧線が鉄道と交差するので、これの立体交差事業を行う
__________________________________これらのうち最も事業費のかかるのが、駅の高架である。それが355億6000万円、田島大牧線の拡幅工事が27億9000万円。
合わせた事業費は大体383億5000万円で、このうち市の負担が204億8000万円、国からの補助金が143億円、県の負担が24億円、JR東日本は12億円となっている。
この事業の成り行きとしては最初は県事業で始めた。だから平成11年~14年までは県が事業主体になっていた。
ところが浦和と大宮と与野がの三市が合併して政令指定都市のさいたま市が出来たために、事業が移管された。
県の事業であれば、県の予算から支払われるが、市の事業になれば市の予算から支払われる。市にとっては大きな負担だ。
ではなぜこの事業が行われなければならなかったのか、この大きな事業によるメリットは何なのかを考えてみよう。
高架にしなければ、田島大牧線は通せなかったか。いや、他と同様にオーバーパスかアンダーパスにすれば通す事は出来た。では湘南新宿ラインのホームは高架にしなければ出来なかったか。
どうやら高架化をしないと出来なかったと考えられる。つまり全体計画の大元は湘南新宿ラインの浦和駅停車にあったのである。
JR側に停車させるメリットはあったか。ない。地元が望んだことだった。浦和駅からは市役所や県庁利用者がいる。またさいたまスタジアムのサッカー場へバスが出ていると言うが、余りにも距離があるし、1日3本しか出ていない。南浦和で武蔵野線に乗り換えるのを止める人はないだろう。
だから横浜方面から湘南新宿ラインに乗ってわざわざ浦和駅まで来て降りる人は、市役所か県庁に用事がある人がほとんどと思われる。
そう考えると、市や県などの職員が通勤で使ったり、近くの市民が乗り換えなしで池袋、新宿、渋谷方面に行けることが一番のメリットと思われる。
そのために200億円以上の市税が投入されるのは、果たして費用対効果があるのかないのかを突き詰めた場合に、甚だ疑問だと言わざるを得ない。
さいたま市も借金が膨らみ、近年国の税金を交付されなければ財政が維持できない自治体になってしまった。
このまま突き進めば、必ず財政の不健全化は大きくなり、増税や財政破綻も考えられるようになって来る。
その前にもっと税収の少ない他の自治体は破綻してしまうだろうし、国家の財政も危機的状況になる。つまりほぼ同時に破綻の危機はやって来るだろう。
湘南新宿ラインを停車させるためには全体の高架が必要だった